~特殊車両通行確認制度とは?~

 令和4年4月1日より、『特殊車両通行確認制度』が始まりました。この新たな制度は、従来の特殊車両通行許可制度に比べて、迅速な通行を可能にする制度です。収録道路が限定されているため自由な経路選択ができず、未だ従来の制度を全て代用させる訳にはいきませんが、特にお急ぎの通行をしたい業者様には大きな力となるでしょう。

1.『特殊車両通行確認制度』とはどんなもの?

 そもそも『特殊車両通行確認制度』は従来の特殊車両通行許可制度と何が違うのでしょうか。

■従来の特殊車両通行許可制度

 従来の特殊車両通行許可制度では、通行許可申請のたびに最新の車両情報をもとに、依頼のあった出発地、目的地に合わせて当事務所で経路を作成させていただきます。そのため、経路の選択は業者様のご要望に応じた自由度の高いものをご用意できます。また、通行条件のあまりよくない道路の確認や国土交通省の許可システムに掲載のない、いわゆる未収録道路等もお調べして対応しますため、必要に応じた経路の選択、細やかな調整が可能となる方法です。
 通行許可の有効期間は申請によって異なりますが、2年又は1年間有効です。条件に合った業者様の場合、最長4年間有効な申請もございます。

 しかし、申請にあたっては各道路管理者の審査が必要となり、許可までの時間は車両及び通行経路によって申請ごとに大きな差が出ます。個別協議が必要な場合、未収録道路等を通行する場合は特にお時間をいただく場合がございます。最短、中1日で許可を得られるケースから3ヶ月程かかるケース等様々ございますので、お気軽にお問い合わせください。随時更新しております窓口及び道路管理者情報に照らして、おおよその見積りをお話させていただきます。

■特殊車両通行確認制度(令和4年4月開始の新制度)

 新しい『特殊車両通行確認制度』は、業者様からいただきました車両、出発地、目的地等の情報をもとに、国土交通省のシステムを用いて経路作成を行い、走行の是非を確認する制度です。本制度では収載経路が限定されており、本システムに収載されている一部の道路しか通行することはできません。また、個別協議が必要な道路等を通行することもできません。そのため、出発地、目的地によっては本制度は利用することができません。
 また、出発地、目的地名は記載がされませんため、社内の管理や元請様から確認証提示を求められるような場合にご注意いただく必要がございます。
 通行経路は基本的に自動選択されますため、細やかな通行経路の指定はいただけません。確認の有効期間も従来の許可制度より短く、全て1年間となります。

 通行確認が可能な経路しか設定できない分、経路指定後すぐに通行確認がなされます。条件が整えば即日に通行することも可能となるでしょう。そのため、お急ぎの通行が必要な場合には非常に頼りになる制度です。

2.必要な要件

 『特殊車両通行確認制度』は、「業務支援用ETC2.0車載器装備の車両」が対象となります。

業務支援用ETC2.0車載器とは……

 業務支援用ETC2.0とは通常のETC2.0のサービスに加えて、特車ゴールド制度に対応したGPSの付いた車載器です。GPSが付いていますので、その車両の現在地を確認したり、走行記録を国土交通省のサーバーから確認することができます。
また、渋滞情報や交通障害情報等をドライバーに音声でお知らせする機能も付いています。

~申請にあたってご用意いただくもの~

・委任状(当ホームページの「ダウンロード」ページにてダウンロードできます)
・車検証
・車両諸元、外観図(無い場合はご相談ください。こちらで用意できる場合があります)
・ETC2.0にかかる情報(車載器番号、ASL-ID)
・積載物情報(品名、寸法、重量)
・出発地、目的地情報
・通行希望ルート(2地点双方向2経路検索の場合)
 ただし、通行経路は希望に添えない場合がございます。その場合は、自動選択された経路での確認となります。

~申請の流れ~

 従来制度では通行申請が終わりました後、国土交通省から業者様に「国土交通省の申請手数料」の請求がございました。『特殊車両通行確認制度』でも国土交通省の手数料が発生することには変わりがありませんが、本制度では迅速な通行確認のため、確認に必要な国の手数料はまず当事務所で立替させていただきます(※料金表の緑色部分が国土交通省指定の手数料です)。通行確認が終わりました後、当事務所のご利用料金と併せて請求をさせていただきます。

1.出発地、目的地を確認する

 『特殊車両通行確認制度』は通行確認が可能な道路が限定されているため、場所によってはそもそも本制度が使えない場合がございます。まずは本制度での確認申請が可能かお調べいたしますため、出発地、目的地をお聞かせください。本制度が利用できない場所を通行する場合は、従来の特殊車両通行許可制度のご利用をお勧めします。

2.車両を登録する

 本制度は、従来の特殊車両通行許可制度と異なり、まずは対象車両を国土交通省に登録することが必要になります。登録はこちらで代行させていただきますので、新規登録時には車検証情報、車両諸元、ETC2.0車載器番号、ASL-IDをお聞かせください。
 登録は5年間有効です。先の登録から5年が経過した場合、再度の登録が必要となります。

3.『特殊車両通行確認制度』の種類を選択する

 本制度には2種類の申請がございます。それぞれ通行経路の内容が変わってまいりますので、ご都合に合う方をお選びください。

【2地点双方向2経路検索】

 出発地から目的地まで、2経路(主経路・代替経路)が通行可能となります。もう1つの経路への渡り線も条件によりますがいくつか通行可能となりますので、混雑迂回等もできます。

【都道府県検索】

 選択いただいた都道府県内の主要道路すべてを一括確認して通行可能とします。2経路検索よりも自由な走行が可能となるかと思われます。国土交通省の手数料は県ごとに請求されます。

 なお、出発地、目的地の段階では問題とならなくても、車両、積載物等の条件によって通行確認ができなくなるケースもございます。この場合でも車両登録料(国交省指定)、手数料(当事務所の手数料です)は発生いたしますのでご了承ください。

4.通行確認書類のお届け

 早ければ即日に確認が終了いたしますため、メールにて送らせていただきます通行確認書類を走行車両にご携帯ください。

~まとめ~

 新しい特殊車両通行確認制度は、通行可能道路少なくて経路が大きく限定されていたり、そもそも条件によっては通行確認できない場合も少なくありません。また、有効期間も短かったりと業者様のご負担となってしまう部分も多い制度です。ほとんどの場合は「従来の特殊車両通行許可制度」の方が便利にご利用いただけると思われましため、現状では当事務所は従来の制度のご利用をお勧めしております。
 しかし、至急通行が必要になる等の急ぎの場合、従来では許可が間に合わないような場合も通行が可能になる可能性があるのは大きな魅力です。
 急な走行が必要となった場合は、まずは試しにご相談ください。新しい特殊車両通行確認制度が利用可能かどうかだけでも確認できれば、即日通行できる可能性が開けるかもしれません。